ミケ猫物語 〜タキシード紳士〜

朝、カーテンを開けると、ミケ太郎が待っている。
おはよう。ミケ太郎。ご飯あげるね。
と言ったところ、気配を感じ、室外機に寝そべる、
ブサイクなデカイ顔と、至近距離で目が合った。
!ミケ太郎のご飯を横取りされてはたまらない。
太々しいネコに庭まで出て追い払ったが、
ミケ太郎も一緒に退散するではないか。
ちょ、ちょっと!ミケ太郎!ご飯は、3日ぶりじゃない!
後ろ姿を見送った。

天神岩田屋まで買い出しに行って帰って、
お昼の海鮮ちらしを食べていたら、
クロネコさんが、今朝のが来たよと合図する。
カーテンを開けると、神妙な面持ちで、
ブサネコが、ぎこちなく座っていた。

…。
…。
私は窓を開けて、ネコ丼をブサネコの前に置いた。

へぇ。お前さん、肝が座ってるじゃないか、
よくよく見れば、タキシードキャットだね。
その右目は腫れて膿んでるし、頬も歯が抜けたんだろ?
そんなんでミケ太郎を守れるのかい?

タキシードは丼を平らげると、踵を返した。

夕暮れどきになって、2匹で挨拶にきました。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です