ボクと女の人 ~ゆめ~

ボクにごはんをくれる女の人。
その女の人の住む部屋は、
水で満たされているよ。

その女の人は、目隠しをされて、
耳に栓をされて、猿轡をかまされてる。
重い鎖のついた首輪をして、
指先で文字を書いている。

ボクにごはんをくれる女の人。
風が強い日、窓をあけたら、
部屋中の水が外に流れてきたよ。
水が無くなった部屋で、
女の人の体は燃え始めたよ。

女の人が火達磨になったら、
重い鎖がごとりと床に落ちたよ。
女の人が灰になったら、
一羽の鳩がいたんだよ。

灰色の鳩で、目は優しい
緑色をしていたよ。
鳩が部屋を飛び出したから、
ボクはその後を追ったよ。

街の中の白い影で、
何も持たない人の行列を見たよ。

深い山の中に入ったら、
食べ物が何もなくて、いのちが
子供を連れて人の街へ向かったよ。

誰もいない川を下ったら、
海に流れ着いたよ。
プラスチックのクジラがいたよ。

雲の中で、鳩とうたを歌ったよ。
最初は楽しかったけど、
だんだん苦しくなって、
ボクは泣いてしまったよ。

ボクの涙は空から家の屋根に落ちたよ。
女の人の部屋はボクの涙で満たされたよ。

そしたら鳩は涙の部屋に入ったよ。
鳩は女の人になったよ。
そしてボクにごはんをくれたよ。

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